サポンテ 勉強ノート

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内向型人間のための人生戦略大全 (シルビア=レーケン著、CCCメディアハウス)

内向型人間のための人生戦略大全

内向型人間のための人生戦略大全

三年前の感想

この本は三年ほど前に読んで、そのとき感想も既に少し書いていました。以下、その時の感想です。


つい最近スーザン=ケインさんの TED を見てから同カテゴリの書籍を探して購入。その時は急いでいたので、あまり考えずにこの本を手に取ってしまいましたが、結果はとても良かったと思います。

印象に残ったのは「自己認識と自己肯定は密接に関わっています」という言葉でした。外向型人間が評価される社会にあって自己肯定できなかった内向型人間の私は、どこか自己認識をも避けていた気がします。

本書では外向型人間が評価される傾向の強い現代社会が作られた歴史的経緯も少し触れられています。

外向型になるべく自己「改造」に励んだり、結果やがて疲弊して自己否定を強めたり厭世感を強めたり、悪循環に陥っていました。

本書は内向型人間の自己認識、そして自己肯定にとどまらず、どのように振る舞えば社会的な「成功」を得ることが出来るのかというところまで踏み込んで書いています。

内向型人間の特徴と、その周りにいる人たちとのコミュニケーションの特徴について書かれた前半は、まるきり自分のことが書かれていると感じました。内向型人間かどうかのチェックリストがあり、自分はチェックするまでもなく内向型の傾向にあると思って読み飛ばしていましたが、ハンバーガーショップで友人と試しにやってみると自分が思った以上に偏りの強い典型的な内向型人間でした。本書の内容は一字一句その通りで、著者に自分の生活と心の内を覗かれているのではないかと思うほどで、友人と大笑いしながら読んでいました。

主に内向型人間が自分の生活の中で気をつけるべき点について書かれていますが、内向型人間をお子さんに持つご家族のかた、内向型人間を身近に持ちコミュニケーションに悩んでいる方にもオススメです。なぜなら円滑なコミュニケーションには相互理解も自己肯定も必要だからです。自分も、もっとこどもの頃に本書に巡り会っていればと思いました。

前半は内向型人間の特徴(その強みと弱みなどについて)、中盤以降はその強みを生かす方法について、生活の中での振る舞い方、ビジネスの中での振る舞い方、といった構成になっています。扱っている範囲が広いため、内容の一つ一つは「もう少し深く掘り下げてほしい」という感じもしましたが、自分としては入門編のような感じで良かったです。


三年前の感想ここまで。

この本を読むべき理由と読むべき人

この本の最初に書かれている解説に、次のような記述があります。

こんなユニークな本はあまり見たことがありません。2人に1人が当てはまるのに日陰者として扱われることの多い「内向型人間」という少数派の人々がテーマだからです。 コミュニケーションについて書かれた専門書は(特にアメリカの書籍を中心に)人生の勝ち組に属し、自分の意見を常に主張する「外向型人間」、シルビア・レーケンの言葉を使うなら「饒舌でどんなときも自分を押しとおす自己PRの達人」に向けて書かれたものがほとんどです。

およそ2人に1人が該当するのに、今でも日陰者で、まるで存在していないかのように扱われているのが内向型人間です。

かつて沈思黙考が尊ばれ内向性の文化を持っていた日本でも、最近は外向型人間ばかりが尊重される傾向を強めていて、内向型人間にはとても肩身が狭い状況にあります。とくにこの社会では同調圧力が強く「皆が同じように感じ、同じように考えるべき」という考え方です。そればかりか最近は「自分と異なる存在」への拒否感がますます強くなっていると多くの人が感じるところではないでしょうか。そのような中で、自分になにか異質なものがあると感じる人はますます生きづらい世の中になってきています。

この本は自分が社会の主流から「異質」だと感じる人の、ひとつの救いになります。

サポンテも自身の子どものころを思い出すと、将来なりたい自分のイメージは外向型人間のステレオタイプそのものでした。内向型人間である自己認識がなかったため、社会が醸成する理想の人間像をそのまま自分の理想にしてしまっていました。その理想に近づけないか、近づくにつれ心身が疲弊していく自分に嫌気がさし、ずっと自己肯定感を育むことができずにいました。

この本には以下のような記述があります。

「内向型」と「外向型」という言葉をより正確に理解するにはこう考えなくてはなりません。両者は対置する2点なのではなく、1本の直線の両端にある2点なのだ、と。人間はみんな「内向的」な性格と「外向的」な性格の両方をもちあわせています。つまり、生まれたときから「内向型」と「外向型」、この2点を結ぶ直線上の快適ゾーン(自分が心地よいと感じる範囲)に生きているのです。

ほとんどの人は「内向型」と「外向型」のどちらかに偏ってはいても、直線のだいたい中間部分を快適ゾーンにして生きています。そして健康的な生活を送っています。ですがこの快適ゾーンが「内向型」または「外向型」のどちらかに大幅に偏っている人は健康的な生活を送れない可能性があります。

その見本のような人間がサポンテです。

もう作者に手紙を送って「ここに典型的な人間がいます。ぜひ自分をあなたのモルモットとして詳しく調べてください」とアピールしたいくらいです。

サポンテは次のように考えます。

ほとんどの人は下図のように「内向型」と「外向型」の両極2点を結ぶ直線上の真ん中当たりに正規分布していて、平均の大多数から希に外れている人が生きづらさを抱えていると。

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内向型人間・外向型人間の分布

ときどき同じように、同じようなことで苦しみ悩んでいる人を見かけることがあります。そんなときサポンテは自分のことのようにつらい気持ちになります。その人の感じていること、感じてきたことは、おそらく自分と同じだからです。

内向型人間と外向型人間のパートナー

この本の第二部(Part2)では、最初に内向型の人間が、パートナーを持ちたいとき・持ったときにどのようにすればいいかについて取りあげています。内向型人間であっても人間嫌いというわけではないのでパートナーと一緒に人生を歩んでいきたいと考えるのは自然なことです。

パートナーを選ぶ際に「内向型」「外向型」という視点がなければ、お互いが求めているものが理解できずに問題になる可能性があります。

「内向型人間」と「外向型人間」が一緒に生活をすると、互いに妥協できずに関係を悪化させる恐れがあります。「内向型人間」は「外向型」のパートナーを、要求ばかり押し付ける思いやりのない人間、「外向型人間」は「内向型」のパートナーを気づかいが足りず、何でも人まかせにする、消極的な弱い人間とみなす傾向があるからです。これがひどくなると「内向型人間」の自尊心は傷つけられてしまいます。一方「外向型人間」は「内向型」のパートナーに必要以上の刺激や行動力をもとめるようになります。そしてそれらを与えられないと「自分は大事にされていない」と感じるようになります。「内向型人間」は常に愛情表現をしたり、イニシアチブを取ったりするのが苦手です。こうなると関係は悪化する一方です。

その見本のような経験をサポンテはしました。

手を挙げて「ここに典型的な人間がいます。ぜひ自分をサンプルとして詳しく調べてください」と作者に訴えたいくらいです。

このことも、ときどき同じように苦しみ悩んでいる人を見かけることがあります。内向型人間という自己認識・視点がなかったり、パートナーとのあいだに思いやりある関係を築けず、何度も同じドラマを再現して苦しんでいる人を見かけることがあります。

あらためてこの本を読むべき人

「内向型」の人はもちろん、この本を読んで自分を知り、自分を肯定し、どのように生きていったら良いのか、ヒントを得てほしいと思います。

この本には「内向型人間」の特徴だけではなく、それと対比されて「外向型人間」の特徴も詳しく書かれています。「内向型」の人だけでなく「外向型」の人も一緒に読み、自己認識をすすめ、さらに内向型人間とはどのような特徴を持ち、自分とは何が異なり、何を必要とし、何を求めているのかを知っていただければと思います。

もし「内向型人間」と「外向型人間」のカップルがいたら、この本を二人で読んで、思いやりのある関係を作っていっていただければと思います。

また、自分が「内向型」か「外向型」かわからないという人でもこの本を読み__この本には簡単なテストもついていますし__「内向型・外向型」という切り口で人や社会を見据え、人と人とはそれぞれ大きく異なる存在であることに思いを至らせ、それぞれがお互いを思いやる暖かい社会を作っていけるよう、新しい視点を持っていただければと思います。