教育費が高すぎると思うのなら、無知による損失と比べてみれば良い [ボックの法則]
はじめに
以下のようなまとめサイトの記事をみました。
この「一年目」の方は、社長の言葉を受け止めて「納得」したようです。
しかしながらサポンテは、いささか異なる見解を持っています。
経営者視点で言うならたしかに
会社というのは、労働力を提供する代わりに賃金を貰う場所であり、学校ではありません。学びは労働の枠外にあるものであって、それを営利企業が業務時間を使って提供してくれるものと期待するのは筋違いです。
かつては、サポンテもそう思っていました。
自己教育は無料ではない
では自分で勉強しようと思うとどうなるでしょうか。当然、個人間でばらつきが出てきます。
また、自己教育は少なからぬ費用がかかります。生活のために仕事で稼いだ賃金を、仕事のための勉強に消費する。これは果たして健全なことでしょうか。人生全体を振り返った時に、後悔を残さないでしょうか。
もっと重要なことを言います。企業は今まで、その自己教育が十分に可能になる潤沢な報酬を支払ってきたでしょうか。
サポンテのようにエンジニアをやっている方はわかると思いますが、セミナーなどはもちろん、技術書籍はまったく安くありません。いくら勉強したいとは言っても、躊躇せざるを得ない金額です。
そしてエンジニアはずっと賃金が安いままでした。自己教育に回せるほど家計に余裕を持つ人の方が、むしろ少数派でしょう。
その結果どうなったか
その状況が何十年も続きました。結果、世の中はどうなったでしょうか。
「自社は、高い
社員の教育にコストをかけず、安い給料で長時間働かせ、世界を席巻するイノベーティブなものが、この国からたくさん生まれたでしょうか。
教える立場になって
サポンテはとっくに「新人に教える側」になっているのですが、状況は深刻です。これからの若い人は、破綻する年金に怯えながら爪に火を灯す生活を余儀なくされると感じています。もう「この本は、とてもためになるのでぜひ買って読んでおいてね」などとは言えません。とてもそんなことを言える余裕はなくなってきたと感じます。
ためになったとしても、収入は下がる一方なので、それも「ぜひ」とは言えない理由です。
企業はもっと社員教育を
企業は、もっと社員教育に積極的になるべきだと思います。なにも、費用をかけろとは言いません。外部講師を招いて社内セミナーを開くとか、そんな大袈裟なことでなくても良いのです。業務時間外でも構いません。ただ社内の会議室と PC を使わせて、自由に参加できる形の勉強会を開きやすい文化を醸成するだけで良いです。プレゼンターをやりたがる人がいないかもしれませんが、その時だけ報酬を出せば良いでしょう。外部講師を招くよりはずっと安く済むはずです。
サポンテは様々な企業で働きましたが、ほとんど冒頭に引用した言葉の通りの企業ばかりでした。教育費が高すぎると感じるのは、費目があるから見えやすいというだけのこと。無知による損失は会計には載ってきませんからね。一度試算してみれば良いと思います。