サポンテ 勉強ノート

サポンテの勉強ノート・読書メモなどを晒します。

肉の臭み・肉の味

はじめに

 少し前に「肉の臭み」について自分にはわからないという投稿がありました。

肉の臭みって何?

 これについて、サポンテの知ることを書きます。

中国から来た人

 十年以上前になります。中国の寒村出身で日本に移住した人が次のように言うのを聞いたことがあります。「日本の豚肉は水っぽくて味がしない(だから日本の中でももっと田舎に行って、自分で豚を育てたい)」と。

 私たちは豚肉を食べても味が薄いとか不味いとか、いろいろ言い方があるかもしれませんが「水っぽい」と形容することは想像しにくい。

 しかしこれには理由があります。畜産動物はより早く成長するように品種改良され、なんなら成長ホルモンを投与してまでそのスピードを上げています。つまり「水増し」しているのです。

たけのこ

 たけのこを食べる時、アク抜きをします。たけのこのアクの正体はシュウ酸です。アク抜きしないで(あるいはアク抜きに失敗して)そのまま食べると、喉がイガイガしてちょっと無理。けっこう強烈なえぐみです。

 それに懲りて、一度、徹底的にアクを抜いてやろうと下処理に時間をかけてことがありました。そうしたら、アクは確かにまったく抜けたのですが、同時に「味」もまったく抜けてしまいました。それはただ、食感だけのものになりました。

 この経験から、旨味と雑味は表裏一体なのではないかと知ったのです。

家畜の匂い

 サポンテは合鴨を飼育し、自分でさばいて自分で調理し、自分で食したことがあります。

 それ以前に合鴨を食べた際、そのクセというか匂いが独特で、それがいい「味わい」になっているなと思ったものです。

 しかし飼育を始めてから、その「味わい」のひとつだと思っていた匂いは、フンと同じ臭いだと気づきました。気づいてしまうと、その味わいある匂いは悪臭に思えてきました。

 この経験から、肉の臭みは、ごくわずかでも敏感な人にとって抵抗感を催すものであると知りました。

 それは調理によって軽減できますが、完全になくしてしまうと、やはり味わいも失われてしまうと感じます。

五島列島の牡蠣

 また話が変わりますが、サポンテはたまたま五島列島産の牡蠣をごちそうになったことがあります。牡蠣といえば広島産が有名です。比べて五島列島産は数が圧倒的に少なく、また生育に時間がかかるためビジネスになりにくい点からあまり多く流通していないのでしょう。なぜ生育に時間がかかるかというと、海水の水質が良すぎる、つまり言い換えると栄養が少ないためです。他の地域と比べると、成長に1.5倍ほど時間がかかるそうです。

 その代わり、味は格別でした。信じられないほどでした。誇張はありません。

 この経験から、時間をケチると味は落ちると知りました。

失ったもの

 私たちはすでに、本来の肉の味を知らない可能性があります。

 サポンテが工業畜産に反対しているのは、アニマルウェルフェアだけでなく、そもそも「不味いから」という理由も大きい。

 旨味と雑味が表裏一体ということを考えれば、冒頭にあげたダイアリーの中で投稿者が「肉を臭いと感じたことはない」というそれは、すでにかなりの「味」が失われている証拠と見ることもできます。

 農産物から味が失われていくことを嘆いた文章は、シュタイナーの農業講座の中にも見つけることができます。つまり100年以上前から起きている現実です。

 時間を惜しみ成長スピードを上げて水ぶくれした肉は匂いも味わいも薄くなり、それに慣れた私たちは喪失を知ることもない。

 そうして効率的に安価に作られた肉を食べて得られた「効率的な人生」を生きる理由とはなんなのでしょうか。