はじめに
サポンテはビーガンではなく、ベジタリアンでもありません。むしろ積極的に動物を殺す側の人間ではあるのですが、その考え方(ビーガニズム)は色々な点で妥当性があると思っています。
しかしながら現状ビーガニズムは多くの人に理解されているとは言い難く、もし幼い我が子が動物を食べたくないと言ったときに、頭ごなしにこれを否定ないしは無視する方が少なくないと聞いています。
あなたは独りではない
もし子どもがそのようなことを言ったら、どうか最初に伝えてほしいことがあります。
それは「あなたは独りではない」ということ。
子どもにとって動物は「ともだち」であることが多く、野生動物よりさらに身近な家畜が殺されることに抵抗を感じるのは、不自然なことではありません。ビーガニズムなどを外部から思想として取り入れる前に、自発的にそのような感情を持つことはあります。
いつも食事を作ってくれる親御さんに、そのようなことを告白したということは、とても勇気が要ることだったでしょう。
いつも、当たり前のように用意される食事に対してそのような感情を持つことは、罰当たりで、恥の感情を呼び起こし、世界から孤立するかのような心細い気持ちがすることでしょう。
それでも自分の気持ちを言葉にしたことは、立派なことであると思います。
「あなたと同じように考える人たちが世界には居る。その人たちは
できることなら、そう声をかけてあげてほしいです。そして実際に、一緒に調べてあげてほしい。
親御さんまで同じように考える必要はない
子どもと一緒にそれを学び、なおかつ「自分は、やはり受け入れられない」というのであれば、お子さんにそれを伝えることができるでしょう。
大切なのは、ちゃんと知ること、ちゃんと伝えることです。
自分たちが食べている「たべもの」について詳らかにすることは、命を預けるものである以上重要なことですし、別々の考え方を持ちながらも平和な人間関係(親子関係)を続けていくことができるのだという経験も、子どもにとって大切なことですよね。
実際、よくわかっていない人が多い
実際、ベジタリアンやビーガンについて(当事者も含めて)多くの人はちゃんと知っているでしょうか。この記事の脚注に書いたことすら知らない人が多いのが実情ではないでしょうか。
食用にされる動物も、生前はちゃんとした人生をまっとうしていると考えていないでしょうか。
どうやって学ぶか
サポンテは主に、以下の三つに学びました。他の本も読んだりしましたが、以下の三つほどの濃度はありませんでした。
ゲイリー・ヨーロフスキーの動画
映像で学びたい人は、以下の動画が手っ取り早いでしょう。しかし子どもに見せる場合、字幕の量がとても多いので、字幕付き映像の視聴に慣れていない年齢だと厳しいかもしれません。
余談ですが、これを見て、肉食獣の身体を持ちながら笹しか食べない「パンダって、ヘンなやつ」と思いました。
書籍『ビーガンという生き方』
装丁の安っぽさ(失礼)からは想像もできないほど、深くて広い範囲を扱った本です。一般の人がビーガンに対して知りたいことや疑問に思うことは、全て書かれています。
書籍『人類はなぜ肉食をやめられないのか: 250万年の愛と妄想のはてに』
ベジタリアンやビーガンになろうとした人は多くても、実際には簡単ではなく挫折した人も多い。この本には、そういった背景なども書かれています。
やっぱりやめた
「やはりベジタリアンやビーガンはやめる」となった場合に、それが挫折という経験になってしまう。そんな経験をさせたくないと考える親御さんがいるかもしれません。でも学んだことは無駄にはならないでしょうし、やってみないとわからないことはたくさんあります。それを挫折と後ろ向きに捉えるのではなく、経験値が上がったと考えていただければと思います。
そして、この本を読んで、前向きに生きていっていただければと思います。
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「ベジタリアン」という言葉を、ベジタブル(野菜)が語源という勘違いからか「菜食主義者」との訳語が一般化しています。しかし語源は健康を意味するラテン語の「ベジェトス」なので、サポンテは「健康食主義者」と訳すのが妥当であると考えます。実際、野菜以外のものを口にするベジタリアンもいるため「菜食」は実態に沿っていません。次に「ビーガン」ですが、「完全菜食」と訳されることが多いです。しかしビーガニズムは「食」の領域にとどまるイデオロギーではないため、これも適切ではありません。ビーガニズムは、まず動物を手始めに、社会からあらゆる搾取をなくしていこうという運動です。記事内で紹介している書籍に倣って「脱搾取派」という訳語が妥当であると考えます。↩