はじめに
京王線の電車の中でガソリン(らしいもの)を撒いて火をつけた事件が起こりました。
そのガソリンの入手経路について疑問に思う人が、ちらほら見受けられます。携行缶によるガソリンの販売を原則禁止して許可制に、というわけです。
普段ガソリンを、自動車などの燃料としか見ていない人は結構多いのだなと感じます。
ガソリンの用途
ガソリンは農機具にも使います。田舎の話ではありません。例えば刈り払い機。草刈機と言ったほうがわかりやすいでしょうか。あれは都市部でも使います。
公園、河川敷、街路樹やその周りの植栽など、都市部にも緑地は少なくありません。そういったところでは、そのメンテナンスとして刈り払い機を使います。そうした職業の人は、当然ガソリンを使います。
刈り払い機は、ものによりますが燃料タンクは 500ml 程度。一回の給油で 30 分ほど作業できます。燃料が切れるたびにガソリンスタンドに行くのでしょうか。あり得ません。携行缶から給油します。
街を綺麗にメンテナンスしてくれている人たち
そういった職業に従事している人は、だいたい小さい会社です。ほとんど個人事業の延長みたいなものです。自動車の燃料以外のガソリンが許可制などになったら、そりゃあ困るでしょうね。
緑がある限り、人は草を刈ります。きれいに整備された緑地という恩恵は、それをメンテナンスする人たちの仕事のおかげで成り立っています。
自動車の燃料以外のガソリンを許可制にしろなどという人は、こうした仕事をしてくれる人たちのことが、まるで見えていないんだなと感じます。
田舎では
少し郊外に行くと、刈り払い機は個人所有が基本です。もちろん携行缶から給油します。
京アニの事件ですでに厳格化し、購入は少し不便になりました。田舎にとっては、いいとばっちりです。
このうえで許可制になどなったらシャレになりません。おそらくは手続きをする役所が。
ガソリンスタンドだけではない
刈り払い機は、大体2ストエンジンなので、オイルとガソリンを混ぜて燃料とします。ホームセンターには、混合済み燃料として1リットル缶や4リットル缶が売られています。携行缶は不要で、カジュアルに手に入ります。
ガソリンスタンドでガソリンを買うと、自分でオイルを混ぜて燃料を作る必要があります。携行缶も必要になります。オイルを別で買う必要があります。ただし安く済みます。混合燃料は、それに比べると割高になりますが、手間は少なく済み便利です。
刈り払い機を扱っているホームセンターなら、たいてい混合燃料も置いています。犯罪に使うなら、こっちでしょうね。かさばるしクソ重たい5リットル携行缶を選択するのは、愚の骨頂というものです。
まあ20リットル携行缶を二つ台車に載せて犯罪に使ったやつはいましたが。しかも都市部で。あれは怪しまなかった売る側もどうかと思います。
電動化できないのか
電動化については、将来的にはすべきだと思いますが、現在のところ難しいです。
電動化のメリットして、火気の心配がなくなることのほかに、作業者が排気ガスにずっと晒されなくなること、作動音が比較的静かであること、振動が少ないことなどがあります。
デメリットとして、(エンジン式とおなじ出力を得ようとすると)重い、価格が高いなどがあります。
バッテリーは、やはり 30 分ほどしか保ちません。職業として刈り払い機を必要とする人は、非現実的な作業可能時間です。延長するにはバッテリーをいくつも用意するしかありません。そして、それはかなりの重量になります。
当面、エンジン式が優勢です。
上記のメリットがあるので、将来的には電動化されることが望ましいのではないかと思っています。ガソリンの扱いは実際やっかいですし。
おわりに
自分たちが暮らす街を、綺麗に保つために目立たないハードワークをしてくれている色々な人たちのことを、忘れないで欲しいです。
追記
その後の報道で「ライターオイル」とのこと。なるほど、もっとずっと手軽に買えるものだった。