サポンテ 勉強ノート

サポンテの勉強ノート・読書メモなどを晒します。

シュタイナーを学ぶ本のカタログ (ほんの木)

はじめに

 タイトル通り、本のカタログです。図書館で見かけ、借りてきてじっくり読ませていただきました。カタログというものを最初から最後まで精読したのは初めての経験でした(笑)。

 紹介されている本は212冊です。2002年7月発行という少し古い本なので、掲載されている本もすでに入手が困難になっているものが多数あります。図書館の本はこのように即時性がなかったりするのが残念です。反対に、入手困難になってしまった本が思いがけず出会えることもあるので楽しいですけどね。

 既に読んだことのある本の紹介文も、本の内容を短くうまくまとめてくれている感じで、新たな気持ちで読ませていただき面白かったです。

「読者のみなさまへ」から

 カタログとして実際に様々の本の紹介に入る前に、「読者のみなさまへ」と題して、このカタログを作ろうとした経緯・動機についての短い文章があります。少し引用します。

従来の日本の教育に与せず多様に展開するオルタナティブな教育がどのように日本の教育崩壊に歯止めをかけ、力を発揮するのか、心ある市民は注目し始めています。こうした観点から私たち「ほんの木」も「シュタイナー教育」に教育改革の可能性を強く感じ、出版を通して貢献をしたいと考えてきました。

(中略)

しかしシュタイナーの著作や多様なジャンルの出版物は、必ずしもこうした成果と活動の広がりに比例して市民の目に止まっているとは言えません。大手書店のコーナーに若干の本が揃えられてはいますが、シュタイナー関連書籍の広告や宣伝もめったに目にすることがなく、しかもこの四〜五年前からの出版不況によって、シュタイナー書籍のような良書でありながらも売れ足の遅い本は、書店の店頭から遠ざけられる傾向にあります。

 日本でシュタイナーの名前は、主に教育の分野で有名なので__他の国でもそうなのかもしれませんが__やはり出発点は「シュタイナー教育を学ぶためのポータルとなるような情報がほしい」ということであったようであるとわかります。

 日本には、たしかにオルタナティブな教育が、ごく僅かしかありません。オルタナティブがないのは教育だけでもないのですが、とくに教育は選択肢の少なさが未来の選択肢の少なさに直結するため致命的になっています。社会の変化に対する柔軟さを確保するための多様性を狭めます。ヴァルドルフ教育1は、そのような社会背景に対する必然の憧憬なのです。

 しかしその価値の大きさに比べ、たしかに広く知られているとは言えない状況です。思想史を扱う本の中に、シュタイナーの名前を見出すことは稀です。

絶版本で今後も価値があると思った本

 紹介されている本の中で、有名だったり主だった書籍は現在でも再版が続いていて入手することができます。

 入手が難しくなった本のうち、おそらくはこれからも永らく価値を持つとサポンテが感じたのは以下の本です。

  • シュタイナー幼稚園のうた

  • 水と遊ぶ 空気と遊ぶ

  • 幼児のためのメルヘン

  • ガラスのかけら

  • フォルメンを描く

 また以下の本は書籍の形としては入手が困難ですが、電子書籍として入手が可能になっていました。

電子書籍や絶版本を紙の本に

 昔、廃盤した音楽CDを一点単位でCD-Rに焼き付けて販売するサービスR盤というものがありました。サポンテは趣味がマニアックだったので、このサービスは助かりました。

 同じような感じで電子書籍や絶版本を紙の書籍にしてくれるサービスのようなものは出てこないものでしょうかね。同じ品質ではなくても簡易型の装丁で構いません。

 出版社には元の書籍と同じ程度のお金が入り、紙の書籍にする業者も同じ程度の料金を取ることで、元の値段の倍くらいの金額で絶版本が手に入るようなサービス。消費者は紙の本が絶版になる憂き目にあわずにすみ、出版社は絶版本からも収益が発生し、且つ絶版後の反響を解析することで再販の要否やタイミングを図ることができるなどのメリットが考えられます。一点ものの書籍を都度作るということでサービス側の採算が肝でしょうか。

 そんな妄想をしてしまいますが、難しいでしょうかね。サポンテは特に電子書籍を特に否定する立場ではないのですが、知識の共有や冒頭に書いた図書館での予期しない嬉しい発見、友人の本棚に見つけた時の化学反応的な出会いなど、紙の本には多くの利点があると考えています。

 後日追記。すでにありました(笑)

近いうちに読みたいと思った本

  • 霊学の観点からの子供の教育

 シュタイナーが「教育」という分野に対して最初に行った講演の講演録です。反響が大きかったため、さらに詳細に論文として書き下ろしたそうです。つまりヴァルドルフ教育の出発点が、この本には書かれています。講演は1906年とのことです(最初の学校が開校したのは1919年)。一度は読んでおきたい本です。

テオゾフィー 神智学

テオゾフィー 神智学

 同じ内容の本、『神智学(ちくま学芸文庫)』を持っているのですが、訳者の方が異なります。今回読んだ「カタログ」によると1922年版を訳したとなっているのですが、手元の文庫本にも1922年の記述があるので、内容は同じだと思うのですが...。いちおう文庫本の方は読み終わっているのですが、訳が変わると別な視点が与えられることがあるので、ちょっと楽しみにしています。


  1. ヴァルドルフ教育は、シュタイナー教育と同じ意味です。「ヴァルドルフ」というのはシュタイナーにより最初に作られた学校の名前に由来しています。「シュタイナー」は人の名前を指す固有名詞で、そしてシュタイナーは教育以外の分野でも活躍した人ですので、その中の教育の分野だけを指すものとしては「ヴァルドルフ教育」がよく使われます。サポンテもその方が直接的で厳密な感じがして好ましいと感じます。いずれにしても同じものを指しています。