- 作者:適菜 収
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: 新書
はじめに
先日の「キリスト教は邪教です!につづき、滴菜収の本です。今回は翻訳本ではありません。
この本を読んだ理由は、この著者が好きだったのと、やっぱりニーチェに強い興味を持っていたこと、なにより「ツァラトゥストラ」に挫折したからでした(笑)。サポンテはあまり頭が良くありません(文章を読んでいただければ分ると思いますが)。
どんなことが書いてあるか
この本にはどんなことが書いてあるでしょう。
それは、この本の第一章、「なぜ今ニーチェなのか?」にざっくりと書かれていますが
全部で50項目あり、順番に読み進めていくうちに、ニーチェの教えが自然に頭の中に入ってくるように作りました。
おそらく日本で一番カンタンなニーチェの入門書だと思いますが、内容のレベルを落としているわけではありません。ご安心ください。
とのことです。
どんなことが書かれていないか
「本書は評伝ではない。よって人物紹介は最小限に抑えよう」などと最初に書いておきながら、延々と人物紹介が続く入門書もありますが、本書では本当に最小限に抑えます。
ありますね、人物紹介が大半を占める入門書。だいたい思想家の入門書を読みたいと思う場合、読者としては「その人がどのように考えていたか」「どのようなことを語ったか」の概要だと思うのです。人物紹介であるなら「○○の伝記」といったタイトルにしていただきたいものです。
この本は、上記引用箇所のとおり、ニーチェの人物紹介は非常に控えめにしか書かれていません。逆に少なすぎて、ニーチェの人生はどのようであったのか気になりますが、それはそれで他に多くの本が出ているので、そちらを当たれば良いでしょう。
また、その人物が語ったことや書いたことの寄せ集めの入門書もあります。思想の真髄が現れていると編者が考えたであろう箇所を集めただけの本です。それは不完全な著作の抜粋にすぎず、文脈が途切れていることもあったりして、非常に読み難いものであったりします。この本は、そのようではなく、ちゃんと著者の方が噛み砕いたニーチェを書いてくれています。
どのような人に向けて書かれているか
作者が日本人なので、日本人に__しかも現代の日本人に__ニーチェを紹介するという体で書かれているので、そこが分りやすさにつながっているのではないかと思いました。
「今の世の中はどこかおかしいのではないか?」と昔から感じていました。
中学生、高校生のころはそれでイライラしていたような気がします。
大学生になってニーチェを読むようになり、その原因がハッキリしました。
ニーチェの哲学は、「なぜ日本はここまでくだらなくなってしまったのか?」「なぜ日本人はダマされ続けるのか?」という問いにカッチリと答えています。
高校生くらいから読むことができそうな本です。ニーチェは誤解や誤引用が多いのですが(この本にはその理由についても書かれています)、その思想は広く共有すべき価値があると考えます。この本くらい簡単で読みやすいものが、とっかかりとしては良いと思います。高校くらいのときにこの本に出会えたら、きっと多くの人の救いになるのではないでしょうか。著者の方も、そう考えていると思います。
しかしこの本を読んだだけで「ツァラトゥストラ」が理解できる気はしませんでした(笑)。
この本には、丁寧に、ニーチェの著作をどのような順番に読んだら良いかが書かれていました。なるほど、これはありがたい。哲学は、だいたいが積み重ねなので、少しずつ基礎から理解していかないと挫折しますものね。
そうそう。きっとそうです。サポンテが特別アタマ悪いわけじゃないですよ、たぶん(笑)。