サポンテ 勉強ノート

サポンテの勉強ノート・読書メモなどを晒します。

読みたいことを、書けばいい。人生が変わるシンプルな文章術(田中泰延 ダイヤモンド社)

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

先日投稿した記事で「買った本」の一冊です。

店頭で少し目を通してみて、きっと何度も読み返したくなりそうな本だったので購入しました。

表紙はシンプルで(最近の流行かもしれない)著者の意図がストレートに伝わってきます。

「はじめに」には次のような下りがあります。

自分ひとりのために、料理を作ったことはあると思う。ほかに食べてくれる人がいなくても、それなりに工夫をするし、おいしかったら、うれしいものだ。

本書では、「自分が読みたいものを書く」ことで「自分が楽しくなる」ということを伝えたい。いや、伝わらなくてもいい。すでにそれを書いて読む自分が楽しいのだから。

自分がおもしろくもない文章を、他人が読んでおもしろいわけがない。だから、自分が読みたいものを書く。 それが「読者としての文章術」だ。

この理屈には、共感できます。

エンジニアとして

サポンテはエンジニアとして仕事をしています。

エンジニアはプログラムを書きます。プログラムには、定石的な書き方や、繰り返し何度も現れる書き方があります。エンジニアは各々、そうしたプログラムのひな形を自分なりにテキストファイルに保存しておき、自分なりの「辞書」や「カンニングペーパー」のように使います。これを「スニペット」と言います。日本語にすると「断片」、狭い意味では「ソースコードの断片」になるでしょうか。

プログラマは無数のコード断片を全て記憶しているわけではありません。逐次調べたり、自分が用意しているスニペットから持ってきたりします。

こうしたスニペットを広く共有する Qiita のようなサービスもありますし、ブログに蓄積している人もいます。サポンテも両方とも使っています。

基本的に自分のための文章であり、自分で後で読み返したいと思うものを蓄積する行為です。エンジニアには、こうした記事やスニペットを習慣的に書いている人が少なくありません。

エンジニアはわからないことを調べたりする時にブログや Qiita などのサービスに投稿されているものを参照することが頻繁にあります。それらを書いた人は、誰かの役に立てば良いと思って書くと同時に、将来の自分のために書いているはずです。実際、サポンテも仕事で自分のブログ記事や Qiita 記事を何度も参照します。

ただ、自分のためだけに書くのであれば「ほとんどメモ」でも構わないのですが__実際、世の中にはそれくらいのレベルのブログも少なくありません__それよりは、自分で読み返した時に「読んでみたい」と思える文章にしておきたいという気持ちはあります。実現できているかどうかはわかりませんが、心構えはあるつもりです。

まさに自分が読んで面白い文章を書くということなのですが、難しいのは自分が笑っている文章はおもしろくないということです。これは本多勝一の「日本語の作文技術」に書かれていることですが、例えばお笑い芸人を思い浮かべていただければ分るかと思います。お笑い芸人は、芸をしているときは決して笑いません。可笑しくて仕方ないことを大真面目にやっているから面白いのです。文章も同じように、自身の感情を抑えつつ書く必要があります。

【新版】実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)

絵描きとして

サポンテは絵を描きます。

それは仕事ではないので、技術レベルは推して知るべしですが、一応描いています。

仕事ではないので、その描いた絵を見るのは自分だけです。だから、サポンテは自分で描いた絵をよく眺めています。また、自分で描いた絵を眺めるのがけっこう好きです。

そうしてつまり多分、自分で眺めたときに楽しいと思える絵を描きたいと思っているのでしょう。

自分が欲しいと思うものを作る

こうして考えてみると創造性を必要とするタスクは、まず自分が欲しているものを作り出すこと、作り出すこと自体を楽しむことが重要な位置を占めていると感じます。

もっともこの本の著者はコピーライターとして長年仕事をしてきて、現在文筆業をしている方なので、文章を書く基礎的な力は無意識かもしれませんが高いレベルにあると思います。

凡人がそのマネゴトをするのは簡単ではありませんが、自分の作るモノの最初にして最大の顧客は自分であることがプロでも素人でも変わらないというのは、なんだか少し安心する気がします。

何かを作りたい。文章でも絵でも料理でも。でも何から始めたらいいのか分らないという方は、自分が読みたい文章、自分の部屋の壁に飾りたいと思えるような絵、自分の食べたいと思うもの、そんな動機で始めてみても良いのではないでしょうか。