サポンテ 勉強ノート

サポンテの勉強ノート・読書メモなどを晒します。

1924年、コーベルヴィッツ

バイオダイナミック農業のセミナーに参加した

 オンラインのセミナー「第三十五回人智学Zoom講座:ルドルフ・シュタイナーの地球救済論~バイオダイナミック農業~」に参加しました。

 セミナーの内容は、ルドルフ・シュタイナー農業講座が行われたカイザーリンク伯爵邸にて、シュタイナーが聴衆全体ではなく、ごく親しい人たちだけに語った内容についてでした。

 どうしてそのようなことが伝わっているかというと、カイザーリンク伯爵夫人のヨハンナによって書かれた本があるとのこと(セミナーではさらに、シュタイナーの直弟子との交流から直接聞いたことも交えて話しをしてくれました)。日本語の翻訳はないようなのですが、ドイツ語版はあるとのこと。

 ネットで調べてみると、なんとかそれらしい本が見つかりました。

Koberwitz 1924: Die Geburtsstunde einer neuen Landwirtschaft

Koberwitz 1924: Die Geburtsstunde einer neuen Landwirtschaft

  • 発売日: 2018/06/06
  • メディア: ペーパーバック

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reStructuredText:CotEditor のファイルドロップ設定

はじめに

 テキストエディタ CotEditor では、エディタ画面にファイルをドラッグ&ドロップすると相対パスを自動で生成してくれる便利な機能があります。

 reStructuredText なら :doc: とか .. image:: とか入力して欲しい。ということで設定してみます。

:doc:

 これは、相対パスを入力して欲しいものの、拡張子は余分です。<<<RELATIVE-PATH-NOSUFFIX>>> のようなものがあれば良かったのですが。

 拡張子は「不要だけど、あっても良い」のでしたっけ?「あってはならない」のでしたっけ?ちょっと失念してしまいました。

:doc:`<<<FILENAME-NOSUFFIX>>> <<<<RELATIVE-PATH>>>>`

rst ファイルのドロップで :doc:`path` を挿入

.. image::

 イメージは相対パスを入力するだけですね。

.. image:: <<<RELATIVE-PATH>>>

イメージファイルのドロップで .. image:: path を挿入

キーワード

rst, Sphinx, reStructuredText, CotEditor, ドラッグ&ドロップ, doc link

『イラクサをつかめ』を読んでいます

思ったよりもハウツー本

 現在、ドキュメンタリー映画ヒト・ウシ・地球』に出演していたニュージーランドのバイオダイナミック農家であるピーター・プロクターが書いた本、『イラクサをつかめ』を読んでいます。

 読む前は、様々な場所に広がっているバイオダイナミック農法の事例集のような感じなのかと思っていました。実際には思ったよりもハウツー本でした。バイオダイナミック農法の実践について、詳細な記述があります。実際にバイオダイナミック農法を取り入れているところでは非常に有用な情報に溢れています。

特に貴重な南半球のやりかた

 バイオダイナミック農法はヨーロッパで生まれました。そのため、情報の多くは北半球でのやりかたに偏りがちですが、この本の著者がニュージーランドの方なので、南半球の情報も偏りなく載っています。

 またインドという温暖な地での実践から得られた情報も貴重です。

翻訳ゆえのわかりにくいところ

 一方、翻訳書籍にありがちなマイナス点もあります。

 肥料用調剤の使い方について、一読してわからないところがあったので紹介と解説をします。150ページです。

乾いた草や古い堆肥などで固形の堆肥をそれぞれ別に包みます。堆肥の一側面に間隔をあけてかなり深い穴をあけ、固形堆肥をそれぞれ別の穴に入れてしっかり閉じます。

 堆肥という言葉が何度か出てきますが、この中では三種類の意味でこの堆肥という言葉が出てきています。一読しただけでそれを見抜くのは至難です。これは翻訳のせいなのか原著のせいなのか、わかりませんが。

 元の文章をなるべく変えずに、書き直してみます。おおよそ次のようになるでしょう。

乾いた草や既に発酵が終わっている堆肥を用いて固形の肥料調剤をそれぞれ別々に包みます(1)。これから発酵させようとしている積み上げた堆肥の山の一側面に間隔をあけてかなり深い穴をあけ、(1)で作った塊をそれぞれ別々の穴に入れてしっかり閉じます。

 ここで「固形の堆肥」と言っているのは、固形で使用する502番から506番の肥料調剤のことです。液体として使う肥料調剤の507番と区別してこのような表現をしているのでしょう。これを別の堆肥でくるみます。それは「古い堆肥」と書いてありますが、これからこれらの肥料調剤を使おうとしている堆肥の山とは別にとってきたものと解釈しなければいけません。つまり発酵済みの堆肥か、乾いた草で、肥料調剤のお団子をつくるイメージですね。

 「それぞれ別に包みます」と書いてあります。これは、肥料調剤を同じ穴に入れない方が良いというシュタイナーの言葉に拠っています。一つのお団子には一種類の調剤が入っています。

 それを、これから発酵・熟成させいようとしている堆肥の山に加えるので、その積み上げた堆肥の山の側面に、深い穴をあけます。その穴にお団子を詰めていくイメージです。それぞれの調剤は同じ穴に入れてはいけないので、穴と穴は間隔をあけます。その穴に、上記で作ったお団子を入れていきます。一つの穴に一つのお団子です。これで複数種類の肥料調剤が同じ穴には入らないことになります。それぞれの調剤の放射力が干渉しあうのを避けることができます。

 本に載っている文章で出てきた「堆肥」という言葉は、それぞれ「発酵が終わった堆肥。ほとんど土」「肥料調剤(見た目はほとんど堆肥)」「これから発酵・熟成させようとしている堆肥の山」の三種類にわけられます。一読しただけではわかりにくい。バイオダイナミック農法の経験があったとしても、読んでいてつまづくところです。こうしたところは読んでいてストレスになるので、特に意図がないのなら読みやすくしていただきたいところ。

農業講座と違う用語・訳語を使っている

 参考文献にイザラ書房の農業講座が載っているのに、訳語が不統一なのが気になりました(別訳版は参考文献に載っていない)。これはバイオダイナミック農法の原点である農業講座に寄せて合わせて欲しい。みんなそっちを最初に読むと思いますので。あるいはせめて違う用語・訳語を使用した意図を明記するか、農業講座での用語・訳語と併記して欲しかった。

 農業講座で「ノコギリソウ」とされているものが、この本では「ヤーロウ」となっています。

 農業講座で「カミツレ」とされているものが、この本では「カモミール」となっています。

 農業講座で「カノコソウ」とされているものが、この本では「ヴァレリアン」となっています。

 以上、ご参考までに。

スチュワードシップについて - テア・マリア・カールソンの記事を更新しました

はじめに

 先日投稿した、テア・マリア・カールソンの感動的な講演を翻訳した記事を更新しました。日本語翻訳を発表する許可をメールでお願いした際にテキスト原稿へのリンクを教わったので、YouTube が自動生成した字幕では不明瞭だった部分について、ぜひ参考にしたいと思ったためです。

思ったより違いがあった

 テキスト原稿(PDF ファイル)は、講演の内容とは若干違っていました。もちろん冗長な部分が洗練されていたりということはありうると思っていました。でも思った以上に違いがありました。

 いちおう、サポンテとしては YouTube の内容の翻訳記事という位置づけのつもりなので、違いが大きい部分は YouTube 版に寄せてあります。

 しかしテキスト原稿にも捨てがたい魅力的な文章があるので、いずれかの機会に紹介できたらと思います。

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シュタイナー 農業講座 第一講(2) 人智学と農業

農業講座

農業講座

はじめに

 前回に引き続き、第一講についての読書メモです。第一講のノートはまだ作っていないのですが、書きたいことが溜まってきたので、ノートより先にここ書いておきたいと思います。

人智学協会 農業部門

 現在の人智学協会には農業の部門があります。ちょっと歴史的な経緯をちゃんと調べていないので、これがシュタイナーの農業講座の前からあったものなのか、後になってからできたものなのか、サポンテはわかっていません。

 農業講座の中には「仲間リング」という名前の農業者の同盟が発足したことが述べられています。これがどのような経緯を辿ったのか、現在の農業部門の前身なのかなど、非常に興味があります。

人智学が農業という分野で目指すべきもの

 謝辞に続いてシュタイナーは言います。

人間の生活をめぐるすべての問題は、どの面をとってもまたどの点をとっても、農業と関連づけられます。

 それにも拘らず農業はずっと軽んじられてきました。とくに日本では諸外国に比べて歴史的にも農業従事者が不当に軽んじられてきました。実に恥ずべきことです。

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シュタイナー 農業講座 第一講(1) 社会背景と謝辞

農業講座

農業講座

はじめに

 第一講のノートはまだ作っていないのですが、なんとなく書きたいことが溜まってきたので、ノートより先に書いておきたいと思います。

社会背景

 この農業講座は、コーベルヴィッツにて1924年6月7日から16日にかけて開催されました。この頃、現在のドイツはワイマール共和国でした。前年の1923年にはフランスとベルギーがルール地方を占領して、国内ではハイパーインフレが起き、ヒトラーミュンヘン一揆が起きていました。二つの大戦のあいだの大きな混乱期でした。今から考えると、たいへんな時代ですね。

 農業の分野でいえば化学肥料において1840年と1913年に大きな発見があり、いずれもその後数年以内に普及がはじまっています。こうした肥料について、この農業講座でも「無機化学的」「鉱物性」という表現でたびたび言及があります。

謝辞

 第一講はシュタイナーから主催者への謝辞から始まります。この部分は「農業講座」という主旨から言えば、歴史的な意味を除いて、現代においては特に意味を持たないと思えるかもしれません。しかしいくつかの意味において重要な意味を含んでいるとサポンテは考えます。

 はじめに、歴史というのはどんな時も重要であって、農業も例外ではありません。どのような社会背景や歴史的文脈の中で何が語られ、何が求められ、何が捨てられ、何が選択されたのか。当初の示唆がどのような形で生かされ、あるいは蘇ったのかを理解することから得られるものは少なくないでしょう。この謝辞の中にも、時代背景を伺わせるものや洞察がたくさん含まれています。

 次に注目したいのが、この農業講座が開催されるにあたっての祝祭的な雰囲気です。

人智学の分野で行なわれることは、すべて、いわばそれに必要な情感に包まれた環境の中でこそ、実現するものなのです。そしてそれは農業に関しましても、間違いなくここで実現することになるでしょう。

 第一講でシュタイナーはこう言っていますが、全日程が終わってからの講演ではさらに、この農業講座が開催されたその地、その期間の雰囲気が詳細に語られています。人智学の分野で実施される催しが、こうした雰囲気を大切にしているのは、何よりも人間を大切にしているためです。外から見れば「儀式めいて」いて「秘教的」と映るかもしれないのですが、もしそうでないとすると、つまりこの反対の雰囲気を形容するならば「事務的」「無味乾燥な」「唯物的」となります。そうした雰囲気から生産されたものは、同様の性質を帯びてしまうのではないでしょうか。人間が、その生の多くをよりどころとする農業という領域の行事が無味乾燥なものになってしまったら、失うものはより大きいのではないでしょうか。シュタイナーは第四講の最後に、どんなときも人間が基準であり、人間が根底に置かれていると語っています。人智学の持つこの祝祭的雰囲気は、この『農業講座』の重要性の中に含まれていて、決して小さくないとサポンテは考えます。

「考えない」を実行する瞑想

寝付きが悪い

 最近サポンテは寝付きがとても悪くなっていました。暑さの盛りはとうにすぎて、夜寝る時分はだいぶ過ごしやすい季節になってきたにもかかわらず、布団に入っても、寝返りをうちながら、なんとなく居心地のいい体勢が見つからなくて眠れません。

 暗闇の中で居心地の悪さと長い時間格闘しながら、やがて眠りに落ちるのを辛抱強く待ちます。そんな日々をすごしていました。

 しかし昨晩、「何かを考えすぎていること」が原因ではないかと思いつきました。原因は居心地の悪さを感じている体の方にあるのではなく、ぐるぐると何かを考え続けている頭にあるという気がしたのです。いったん眠ろうとするのをやめ、瞑想を試してみました。

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