本の紹介
- 作者: コルネーリア・フンケ,浅見昇吾
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: ハードカバー
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悪い読書メモはあんまり書きたくないのですが、けっこう傷ついたので記します。
悪い人間によって妖精の丘から追い出されてしまった妖精の女王ポティラと人間の少年アーサーが、力を合わせて妖精の丘を取り戻すまでのお話です。
とにかく罵りあい
冒頭、悪者が無邪気に踊っている妖精達を伺いながら口汚く罵ります。帽子を奪われ妖精の丘から追放されたポティラは人間の子どもアーサーと出会いますが、アーサーの弱い心や妖精についての知識の無さなどについて徹頭徹尾罵り続けます。
アーサーの方は人間生活の中でも同居の双子に酷い仕打ちや悪口雑言を浴びせ続けられています。
森の中に入っても、そこには妖精に敵対するものもあり、やはり台詞の端々に悪意がにじみ出ます。
クライマックスにおいて悪者は意外な知恵者(悪知恵ですが)であることが分りますが、冒頭の口汚さとのギャップにとても違和感があります。
結局ポティラは妖精の丘を取り戻しますが、協力してくれたアーサーに対する心ない言葉へのフォローは何も無く、且つ、物語を締めくくる言葉によって、アーサーもまた暴力に毒されてしまったことが分ります。なにも救いの無いおはなしでした。
心荒む一冊
読んでいて、かなり心が荒んでいくのが分りました。デイヴィッド=アーモンドの作品を読んでいるのとまるで逆の気持ちになります。
けっして、オーウェルズの1984年のように暴力が主題となっている作品というわけではないのです。これが児童書というのはどういうわけなのでしょうか。もしこれが古典であるのなら、暴力の支配が趨勢を極めた時代にあってやむを得ない文体であると納得もできるのですが、どうも現代作家の手によるものであるようです。そればかりか、けっして低くない評価を得ている作家であるようなのです。
どうにも、いろいろな意味で残念な本に出会いました。
- 作者: デイヴィッド・アーモンド,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/03/16
- メディア: 単行本
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