サポンテ 勉強ノート

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ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍(キャロル=ウィルキンソン著、もきかずこ訳 金の星社)

ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍

ドラゴン・キーパー 最後の宮廷龍

本の紹介

名前のない奴隷の女の子がぬれぎぬから龍守りの主人の元に居られなくなり、龍とネズミとともに旅に出ます。龍は、古代中国の皇帝がその権威のために手元においておいた宮廷龍の最後の生き残りでした。

あとがきから、著者はオーストラリアの作家で、歴史のノンフィクションなども著しているかただと知りました。舞台は東洋の漢(現在の中国)ですが、描写される龍の姿は西洋のドラゴンの特徴を持っています。しかしそのほかはしっかりとした調査に基づいていて(もちろんファンタジーですが)、ときおり龍が引用することわざも中国に由来するものであったりするなど、東洋人の目から見ても、またファンタジーに対する目が肥えた現代人から見ても納得できる形の物語になっています。

奴隷として生き、他の家畜と同じように龍を見ていたことを悔やんだり、旅をうまく進めることができず失敗つづきであったりしながらも、最後は目的の「海」にたどりつきます。与えられた状況の中で知恵と絞りながら勇気をもって運命を生きる尊さを教えてくれる中身の濃いファンタジーです。

厚い本ですが、面白いのでほぼひと晩で一気に読んでしまいました。