サポンテ 勉強ノート

サポンテの勉強ノート・読書メモなどを晒します。

SQL アンチパターンの twada さんのプレゼンを見てきました

アンチパターンは名前が大事

昨年の記事で作成した、書籍 「SQL アンチパターン」の勉強ノート に、書籍とは異なる名称を記しました。それは、自分にとってその方が覚えやすかったり、なじみがあったりという理由でした。

書籍に記されているタイトル(各アンチパターンの名前)は英語をそのままカタカナにしたようなものが多く、それでいて続けてちゃんと日本語に翻訳した素敵な名称が括弧書きされていて「まさか訳したタイトルに自信がないのかな。とても適切だと思うのだけれど」とか思っていました。

その後、この疑問は自己解決をしました。エンジニアリングの世界では、日本語に訳したものよりも「そのまま」の方が明確に伝わることがあります。おそらく訳者のかたは、訳すことで伝わり難くなることを恐れたのではないか、と考えたのです。

ところが先日、twada さんのプレゼンを直接見る機会があり、この解釈も誤りであったことが判りました。

続きを読む

わからん薬学事始(3) (まはら 三桃著、講談社)

わからん薬学事始3

わからん薬学事始3

第二巻

主人公の木葉草多は、家業として四百年にわたって秘薬を作り続けている家と郷里の久寿理島(くすりじま)を離れて、東京の「わからん荘」で下宿しながら難門「和漢学園」で薬学を学んでいます。この第三巻は高校三年生の生活が中心になります。

忍者

前巻では主人公の周りにいる若者の葛藤を乗り越える物語が描かれましたが、今巻では前巻で描かれなかった一人のエピソードがちゃんとあります。

主人公の下宿先「わからん荘」にて一緒に下宿している先輩、伸太郎さんは「どうぶつが苦手」という弱点を持ちます。

人の「何かに対する苦手意識」というものは、一時ではなかなか変わったりしないのですが、後でふり返ると、きっかけになったと思えるものは何かしらあるものです。

このエピソードの中で伸太郎さんの親族として忍者が出てきます。忍者にも、忍者だけが持つサバイバル技術と呼ぶべきようなものがありますが、その中で薬学に秀でた一族であったという設定です。

住んでいるのはもちろん忍者屋敷ですが、これを読んだ次の日にちょっと別の場所でも忍者屋敷という単語を聞いたので、その共時性にやや驚いています。

危機

主人公は今巻で、生薬の声を聞くという生来持っていた特殊な能力を失います。

物語の冒頭から登場する矢野先生は、このことをチャンスであると説きます。

気落ちする主人公に対して、他の生徒はその能力を持っていないにもかかわらずより優秀であると指摘し、追い打ちをかけます。しかし特殊能力があるがために、身につけようと思うことが難しかった知恵を身につけるよい機会であると説きます。

そして「生薬の声がまたきこえるようになるかどうかは、私にはわかりません。でも、声がきこえなければ、あなたは薬学をあきらめるのですか」と問います。その瞬間まで気落ちしていた主人公はその問いに「いいえ」と答えることができ、その自分の心の確かさに生気を取り戻します。

矢野先生

第一巻から常に主要な登場人物のひとりである矢野先生は、とても厳しいのですが、やはりそれは人の命を左右しかねない薬学に対する緊張感がそうさせていることが、主人公にも伝わっています。

また人生を左右しかねない教育者としての緊張感も持ち合わせているようで、人の弱点を容赦なく暴き指摘しますが、その克服についても、まったく適切な示唆をそれぞれの生徒に提示します。

主人公の生い立ちをはじめから知っていたことが今巻でわかりますが、その時折見せる優しさが決してそのことに由来を持つえこひいきではなく、教育者として人の可能性を信じているためだと伺えます。

薬の怖さ

危機に陥った主人公は保健室ではなく「特別保健室」に連れて行かれます。そこで出会った芳原先生は、薬には怖い面があることを説きます。

生薬と言えど身体に害をなすことがあること。今巻の主人公の危機は__ちょっと別の原因ではあるものの__そのことを示唆していると考えられます。

SQL アンチパターン

さきほど忍者屋敷という言葉を別の場所でも聞いたと書きましたが、それは SQL アンチパターンの勉強会です。

SQL も薬学も__というか、ほとんどのものがそうであると思いますが__有用な道具も使い方を誤れば毒になります。

使い方を誤らないためのアンチパターンは、きっと薬学の世界にも、そしておそらくはどの世界にもあるでしょう。その対義語はエンジニアリングの世界では「ベストプラクティス」。日本語にするなら「失敗例 1 」と「必勝法」などになるでしょうか。アンチパターンを学び危機を避けて(乗り越えて)ベストプラクティスを身につけるか、学ぶこと無くいつまでも同じ失敗を繰り返すかは、自分自身の努力にかかっているのですね。

完結

今巻で残念ながら完結のようですが、読んでいて、とても楽しい時間を過ごせました。

SQLアンチパターン

SQLアンチパターン


  1. アンチパターンは失敗事例集ではありません。事例というのは具体的なものごとを指しますが、パターンの言うのは繰り返し見られるものに共通する元型であり、定義が可能であるためです。と、twada さんのお話を聞いて理解しました。

わからん薬学事始(2) (まはら 三桃著、講談社)

わからん薬学事始2

わからん薬学事始2

第二巻

主人公の木葉草多は、家業として四百年にわたって秘薬を作り続けている家と郷里の久寿理島(くすりじま)を離れて、東京の「わからん荘」で下宿しながら難門「和漢学園」で薬学を学んでいます。「わからん薬学事始」第二巻では高校二年生になります。

ライバル達の成長物語

今巻には、第一巻から登場しているライバル秀有(しゅうゆう)や、主人公の下宿先「わからん荘」オーナーの孫娘真赤(まき)らの葛藤と、それを乗り越える過程が描かれています。

もちろん主人公も、自分の目的のための手がかりをいろいろとつかんでいきます。

物語冒頭から主人公の目的は生家で四百年続けられている伝承薬「気休め丸」の製法を自力で習得すること。そしてその気休め丸の弱点を克服すること。

気休め丸の伝統的な製法

気休め丸の作り手は代々女の人。それは木葉家に女の子しか生まれてこなかったからというのが理由ですが、その製法には制約が多くとても閉鎖的です。

主人公は四百年目にして初めての男の子ですが、その場合は逆にその製法を受け継ぐことが許されず、島の外に出て自力で製法を身につけることが課せられるということになっています。

いろいろと時代錯誤的なにおいがしますが、今巻ではその閉鎖的な製法や伝承のやりかたには大きな意味があることが示唆されています。

魔法への憧憬

主人公の特殊能力を除いて、物語に描かれている伝承薬の世界は、まるで魔法使いの世界です。魔法という言葉に抵抗があるのなら、神秘と言い換えてもいいかもしれません。

人は若い頃(幼い頃?)しばしば魔法使いに憧れます。でもこの世界の仕組みを学ぶうちに、魔法なんかないのだと気づかされます 1 。全ての事柄には理由があるのだと。

世界の理(ことわり)は、いつもかわらずそこに存在している。今は無理でも、いつかそれが明らかにされる。そのことを思うとき、たしかに魔法はないのかもしれません。

でも自分には無いなにか不思議な力を発揮する人たちのなす技(わざ)や、あっというまに世界を変えてしまう自然現象のなせる業(わざ)、複雑系や混沌の中にのみ姿を現す秩序を目にするとき「まるで魔法のようだ」と思ったことはないでしょうか。目の前に確かに存在している「自分にはできなくて、他のものにはできる『わざ』」を魔法と表現するのなら、たしかに魔法は存在すると言えるのではないでしょうか。

そして、その「なにか」に対する憧れの感情は、自分を向上させる原動力になります。人はいつでも、魔法使いに憧れ、自分を高めるきっかけにできるのだと思います。

気休め丸製法の手がかり

主人公は伝承薬「気休め丸」の手がかりを__製法にしろ弱点克服にしろ__自力で習得しなければなりません。通っている和漢学園は最高の環境ではありますが、製法まったくそのものを教えてもらえるわけではありません。それができるくらいなら、伝承薬はとっくに大手製薬会社によって普及薬となっているからです。

主人公は授業から、わからん荘に訪れる人たちの会話から、一つ一つその手がかりを積み重ねていきます。

手がかりの一つ一つがまた、生活の知恵的な事柄になっていてタメになります。

「技術は教わるものではない。盗むものだ」という、古くから大工に伝わる格言を思い出します。手がかりは日常のそこかしこに潜んでいますが、それを見出すのは学び手に委ねられる。当たり前のことのようですが、意外とできていない人が多いのではないでしょうか。大切なのは日常に起きる様々なことが何の手がかりであったのか気づくことです。そしてその気付きのためには、ある程度の基礎知識を身につけることが必要です。基礎が大きい人ほど、見出す気付きも多くなります。マタイ効果 2 と呼べるものは、ある程度は自分でコントロールできます。いえ、しなければいけません。なぜなら世界の誰も、自分と同じ人生は歩んでいないのですから。世界に一つしかない人生のヒントは教わるものではありません。そして待っているだけのものでもありません。

そして第三巻へ

第一巻とは異なり、第二巻の最後はすこし気になる終わり方をしています。第三巻も楽しみです。

天才!  成功する人々の法則

天才! 成功する人々の法則


  1. これもまた思い込みであることに、いつか気づくのですが、気づかない人も少なくありません。

  2. 「天才!成功する人々の法則(マルコム・グラッドウェル)」より。

わからん薬学事始(1) (まはら 三桃著、講談社)

わからん薬学事始1

わからん薬学事始1

薬学のハリーポッター

児童文学のジャンルから、なんとなく魅力的なタイトルに惹かれて読んでみました。

主人公の少年「木葉草多」が、高校進学を機に単身東京の学校に通い始めるところから物語が始まります。

続きを読む

偽善のすすめ ( パオロ・マッツァリーノ (著)、河出書房新社)

本の紹介

本の著者の分身とおぼしきパオロさんと、近所の中学生の会話を通して、偽善について、その歴史と定義について知り、考えることができる内容です。

14歳の世渡り術というシリーズの中の一冊で、たしかに10代にも読みやすいないようになっていますが、かなりハッとさせられる箇所もあります。

「ほとんどの日本人は、偽善という言葉の意味を深く考えず、気にくわない相手を批判するための便利な悪口として安易に使っているよう」「だれかの行為を、そんなのは偽善だ!と批判すると、すごく痛烈な批判のように聞こえるんです」(p24より)

つかみはばっちり

冒頭の人物紹介にて。中学の部活で「落語研究会」に所属していた男の子と「弁論部」に所属していた女の子が「顧問の数が足りない」という理由で二つの部活が合併されて「落弁部」が誕生したという設定が斬新すぎて大笑いしました。

人気のない「偽善」

偽善という言葉の定義に対して、英語と日本語ではずいぶんと異なることが最初に明らかにされます。

そこから順を追って「偽善」という言葉がいつ生まれたのか、いつ広がっていき、言葉に対する感じ方がどのように変わっていったのかが書かれています。

その歴史の中で「偽善」について、しっかり議論されたり、ちゃんと考えたりした思想家がとても少ないことが明らかにされています。

たとえば「悪」とか「平和」といったテーマなら、しっかり議論されているに違いないと思われますが、それと比べるとその「人気のなさ」はとても意外です。英語と日本語で定義が異なることにも一因があるのでしょう。

しかしながら現代の日本では、歴史的に浅い上に国際的には異なる概念であることが意識されることなくこの言葉が多く使われています。ここにとても危険な感じがします。

「偽善、ヒポクリシーの語源はギリシャ語の"演技"です。」「偽善を否定しているうちに、だんだん"善"や"正義"に対する感覚までマヒしてしまったら、それも大きな問題です。」

この本を読んでいただければ、その危機感がわかっていただけるかと思いますが、でもこの本はもっとライトな感じで書かれていますので、作者の方に敬意を表してライトな感じで読めばいいと思います。

定義

心にもない義務への従順を装うだけの行為(カント)

完璧な正しさなど存在しないのに自分が正しいと確信している何かをする(ヘーゲル

(主に当時のキリスト教団体を指していると思われる)自分たちが信じる一面的な善や正義を絶対的なものと信じて、他人にまで押しつけてくる連中(ニーチェ

善をめざすことをやめた情けない姿をみんなで共有しあって安心する(浅田彰

面白いですね。

農業講座 第三講(段落1〜28)(「農業講座―農業を豊かにするための精神科学的な基礎」ルドルフ シュタイナー (著), 市村 温司, 新田 義之, 佐々木 和子 (共訳) イザラ書房)

農業講座―農業を豊かにするための精神科学的な基礎

農業講座―農業を豊かにするための精神科学的な基礎

第三講の前半

この講には「自然の活動についての付論 --- 自然の中での霊性の活動 ---」という副題がついています。目次の小見出しをみてみると、窒素、炭素、酸素、水素、イオウ、石灰、ケイ石、粘土など、鉱物の名前が続きます。それらの役割が記されているようです。ノートはこれら鉱物の名前を見出しとしてまとめるべきでしょうか?しかしそのように自然を切り分けてまとめることに対しては、この本の中でもシュタイナーは繰り返し戒めているので、なんとなく抵抗があります。やはり「宇宙の諸力をどのように活かしているか」という点に注目して読むべきでしょうか。

続きを読む

Windows でもっとも手軽な Linux 環境(Cygwin 不要)

免責

タイトルは釣りです。言い過ぎましたごめんなさい。

Windows 10 では

Windows 10 では Windows Subsystem for Linux が使えます。そっちを使いましょう。いいなぁ(サポンテは Windows 7。会社の方針で)。

続きを読む